第402章 救急

林田ククは顔を強張らせたまま、冷笑して水原心柔の手を振りほどいた。腹をくくる。――なるようにしかならない。ひとまず寮へ戻ろう。

一歩踏み出した、その瞬間。

背の高い人影が、すっと中へ入ってきた。

顔を認めた林田ククは、目を見開く。

「佐藤……」

それより一秒早く、別の声が飛ぶ。

「佐藤社長、どうしてこちらに?」

菅野監督が満面の笑みで佐藤時言に歩み寄り、手を握った。言葉の端々から、旧友の再会を喜ぶ空気が溢れている。

林田ククは呆気に取られた。佐藤時言と菅野監督――どう考えても接点が見えない。挨拶に行くべきかどうかさえ、判断がつかない。

佐藤時言は林田ククを素早く一瞥して、す...

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