第424章 元夫

榎本律人は青ざめ、泣きたくても涙すら出ない顔をしていた。

藤原深の大きな手は鉄みたいだった。押さえつけられた瞬間、首が折れるんじゃないかと思ったほどだ。

林田ククがその叫び声にびくっとして、慌てて止めに入る。「藤原深!」

だが、藤原深の手はびくともしない。

藤原深は平然と言った。「詰まってるところはそりゃ痛い。普通だろ?」

後半は、こちらに気を取られていた医師への問いかけだった。

医師は藤原深を見て、次に苦虫を噛み潰したような榎本律人を見て、きっぱりとうなずく。「はい。そうです」

そう言い終えると、もう二人を見ようともしない。

榎本律人は情けない目で林田ククに助けを求めた。ど...

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