第433章 監視

朝日明美は全身が石になったみたいに固まり、彫像のように微動だにしなかった。

ぱちぱちと瞬きをして、林田ククをしばらく見つめたあと、鼻で笑う。

「ククちゃん、ドラマ撮りすぎて頭バグってない? あいつがわたしを好きとか、あり得るわけないでしょ」

二人にとって、この世でいちばん嫌いな相手は互いだった。好きになるどころか、相手を火葬にしないのは、知り合いだったよしみで手加減しているだけだ。

林田ククは首をかしげ、朝日明美を見返して、もう一度よく考えてみろと目で促す。

静寂のなかで、朝日明美は妙に思い出してしまった。神崎遠が自分にしてきた「親切」だ。良心があるとは言い難いときもあったが、少な...

ログインして続きを読む