第458章 真心

水原心柔は、ずっと林田ククの胸に刺さった棘だった。

藤原深がどれだけ「何もない」と説明しようと、いまの自分のほうが何もかも上手くいっているのだと言い聞かせようと、認めざるを得ないことがある。あのとき離婚に至った決定打のひとつが、水原心柔だったのだ。

だから、いまこの機会があるなら——その棘を抜きたい。

藤原深は椅子に凭れていたのに、その言葉を聞いた途端、反射的に背筋を伸ばした。耳を疑うように。

「……何だって? なんで水原心柔が俺の初恋だと思う?」

声には呆れと荒唐無稽が滲んでいて、まるでククがとんでもなく滑稽な質問でもしたみたいだった。

ククはぱちりとまつげを瞬かせ、当然のよう...

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