第469章 八つ当たり

林田清は林田ククが去っていった方角を、鬼の形相でにらみつけた。胸の内に渦巻くのは妬みの火ばかり。怒りで目は真っ赤だ。後ろから追いすがってくる唯香のことなど歯牙にもかけず、憎々しげに踵を返して立ち去った。

「清、待って。ねえ、わたし……!」

唯香は不安に駆られて慌てて追いかけ、声を張り上げた――が、言い終える前に、追いついてきた店員に行く手を遮られる。

店員は眉をひそめ、いかにも苛立った調子で告げた。

「お会計がまだです」

「え……さっき、あの子、払ってないんですか?」

店員は伝票を差し出し、淡々と訊く。

「現金ですか、カードですか」

高額な料金を耳にした瞬間、唯香の顔色が青く...

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