第477章 純愛

エレベーターが動き出す。

藤原深がふいに、低く痛みを噛み殺した。

「っ……——」

狭い箱の中、その声だけが妙に浮く。

林田ククは、また何を始めたのかと眉をひそめた。

「どうしたの?」

返事はない。藤原深は無言でジャケットを脱ぎ、袖をまくる。肘のあたりに、広い擦過傷がべったりと赤く滲んでいた。

唐突すぎて、林田ククは言葉を失う。

「どこでそんなの……? 服、破れてないじゃない」

藤原深は、いかにも平気そうに言った。

「迎えに行く前に仕事の片づけしててさ。うっかり擦っただけだ。大したことないと思ってたけど、思ったより痛い」

もう何時間も経っている。そう思った瞬間、胸がざわつ...

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