第479章 後の手段

藤原深は神崎遠の小言など意にも介さず、ドアを閉める素振りを見せた。神崎遠は慌ててそのまま中へ滑り込む。

七夕を過ごしているのは、林田山と夏川薫も同じだった。

二人はいわゆるデートの定番スポットで、街の夜景を見下ろしながら向かい合っている。夏川薫は百年物のラフィットをひと口含み、満ち足りたように息を吐いた。口元に笑みを薄く浮かべたまま、林田山に問う。

「会社が回らないって言ってなかった? なのに、ずいぶん気前いいじゃない」

林田山がケチなのは今に始まったことじゃない。以前は彼女に頼みごとがあったから、彼女の好みに合わせてやっていただけだ。資金繰りに詰まってからは、会う約束すら、何だかん...

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