第488章 夫婦

小野美島はすぐには頷かず、先に釘を刺した。

「わたし……林田山のほうの写真、必ず手に入るとは限りません。それに、あの人にはわたしの弱みもあるんです」

顔いっぱいに困惑がにじむ。

自分から望んでこんなことをしているわけじゃない。生活に追われ、林田山は彼女が必要とするものを与えられる――だからこそ、危ない橋を渡ってきただけだ。

田中申は想定済みとばかりに、別の書類を取り出した。

「弱みの件は、こちらで一切引き受けます」

小野美島は息を呑んだ。指先が震える。――本当に、自分にはやり直す機会が残されているのだろうか。

数年前。卒業したばかりの頃の小野美島は、人生がどこまでも開けている気...

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