第499章 贈り物

後部座席が静かになったのを確認すると、運転手が警戒した声で聞いた。

「まだ意識はあるのか?」

覆面の男が首を振る。

「もう落ちた」

運転手はそこでようやく息をついた。

「助かった……二段構えにしといて正解だったな」

当初の予定は、適当に運転手役を用意して林田ククを誘い込むだけだった。たいていの女は、急いでいてスマホに気を取られていれば、目の前の車が何かなんて気にしない。理由なんて、適当にでっち上げればいい。そうすれば、勝手に乗り込んでくる――はずだった。

ところが林田ククは、見知らぬ車を見た瞬間にすっと数歩下がった。距離が開きすぎたうえ、会所の正面。強引に腕をつかむことさえでき...

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