第540章 聞いたことがない

林田ククは休憩の合間に会場の装飾を眺めた。見上げれば、どのシャンデリアの下にも水晶みたいなストーンが連なっていて、きらきらと光を散らしている。どうりで、ここにいるとやけに眩しいわけだ。

両側に飾られた花も、今にも滴り落ちそうなくらい瑞々しい。ぱっと見ただけで、仕入れたばかりだとわかる。

花で飾るとなれば、値段なんて上限がない。

それを林田ククが知っているのは、藤原深と結婚したとき、装飾の準備にほとんど口を出していたからだ。

青山静はもともと彼女を好いていなかった。まして一緒に式の準備なんてするわけがない。藤原深もちょうど仕事が立て込んでいて、顔を出す余裕すらなかった。

けれど藤原家...

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