第542章 誘惑

結婚式が始まった。

新郎新婦はどちらも福に恵まれた顔立ちで、並び立つ姿は「最初から家族になる運命だった」とでも言いたげだ。会場の参列者も、みな祝福の笑みを浮かべている。

指輪を交換して、キスを交わす瞬間――胸がきゅっとなるほど感動的だった。

林田ククですら目尻を潤ませ、力いっぱい拍手を送っていた。

式が終わると新郎新婦は衣装を替え、テーブルを回って挨拶と乾杯をしていく。

佐藤時言も遠慮なく、林田ククを石田千也に紹介した。

石田千也は顔いっぱいに喜色を広げ、佐藤時言の肩を思い切り叩く。

「おめでとう! やっと人生の幸せ、掴んだな」

佐藤時言は口元をわずかに緩めた。

「ありがと...

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