第566章 結婚

林田山が咳払いして、言い訳めいたことを口にした。「医者が言うには、いまの体調で無理に堕ろしたら命に関わるかもしれないってさ。余計なことはしないに越したことないだろ」

――またその手の話。

夏川薫は、林田山という男の本質を痛いほど分かっている。深く息を吸い込み、込み上げる怒りを押し殺して、あえて柔らかい声に切り替えた。「山さん。わたし、決断を迫ってるわけじゃないの。ただ、あなたのためを思って言ってる。そんなにその子が欲しいの?」

名誉だの体裁だの、またあの説教が来ると思った林田山は、内心うんざりしつつも表には出さず、取り繕って答える。「心配するな。手術できる状態になったら、すぐ連れて行く...

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