第579章 月見の日

神崎遠は、打ちかけていた指をぴたりと止めた。

……なるほど。こっちは藤原深のこと友だちだと思ってるのに、向こうは俺を「見せびらかすための相手」にしてるってわけか。神崎遠は奥歯を噛みしめ、そのまま打ち返した。

「じゃあ返礼はレシピ本でいいんじゃないか。これで胃薬買う回数も減るだろ。最近、明美の料理のおかげで俺の胃、治ったし」

友人として、神崎遠は何を言えば藤原深に刺さるかをよく知っている。

林田ククの料理の腕は、誰もが認めるところだ。食べたら最後、体重が2キロは落ちてから帰る――そんなレベル。

藤原深はメッセージを読むなり口元を引きつらせ、間髪入れずに言い返してきた。

「俺の口に合...

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