第607章 嫉妬魔

事前に手続き一式を整えていたおかげで、流れは拍子抜けするほど順調だった。たった1日で証件を受け取れる。

林田ククは手にした実物の重みを確かめ、胸の奥がようやく落ち着いた。このまま佐藤時言とは、さっと別れたほうがいい。余計な誤解の芽は摘んでおきたい。

けれど――朝から付き添って、あちこち走り回って、ここまで助けてくれた相手に、何も言わずに帰るのはさすがに薄情すぎる。

少し離れた場所で電話をしている朝日明美へ目をやり、ふっと肩の力が抜けた。第三者が一緒なら、食事に誘っても変な色がつきにくい。ちゃんとした「お礼の席」になる。

「時言、今日は本当にありがとう。もし忙しくなかったら、このあとご...

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