第615章 修羅場

そのころ、藤原深の鋭い視線もこちらへ飛んできた。

林田ククは負けじと睨み返す。来いって言ったの、わたしじゃないんだけど!

断るだけなら簡単だ。でも佐藤時言は「ククと明美のために買った」と言っていた。友だちを盾にして拒むのも気が引けて、ククは当たり障りのない調子で返すしかなかった。

「……お気遣い、ありがとうございます。あなたでも、同じことをしたでしょうし」

佐藤時言は拒絶の気配を汲んだのか、唇を結んだまま答えない。

その短い沈黙に、なぜだかククの胸の奥がちくりと痛んだ。ちらりと藤原深を見てから、観念して言う。

「……上がって」

通話を切るなり、ククはばたばたと起き上がって身支度...

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