110話

第110章

グレイソンはマーカスがディマとラルフの殺害に関わっているという感覚を振り払えなかったが、証拠がなかった。何か見落としているものがあるはずだと考えずにはいられなかった。完全犯罪など存在しない、ましてや二つも。もちろん、ピアースも何らかの形で関わっているはずだ。ピアースはスイスにいたとしても、何らかの繋がりがあるに違いない。

グレイソンは既に、ピアースがディマの殺害前日にラルフに電話をかけていたことを知っていた...その事実はフレッチャーに伝えた時に見過ごされていた。考えれば考えるほど、グレイソンは彼を信頼できるのか疑問に思った。頼れば頼るほど、フレッチャー警察署長も関わっているの...

ログインして続きを読む