55話

第55章

数分後、グレイソンはゼビアの二階建ての家へと階段を上がっていった。その家は20エーカーの土地に建っていた。グレイソンは兄がそれほど広い土地を何に使っているのか見当もつかなかったが、プライバシーのためだけだったのかもしれない。しかし春になると、ゼビアは王国での任務の合間に庭の手入れを始め、夏までには敷地の隅々まで手入れが行き届き、あちこちに花壇が散りばめられていた。ゼビアには庭師がいたが、デザインのほとんどは自分で行っていた。ゼビアは家族の中で唯一の緑の指を持つ人で、その才能は母親から正直に受け継いだものだった。

「暗くてよく見えないけど、庭は相変わらず美しいな」グレイソンは兄の背...

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