第四十四章

オリオン

街へと戻る車中、俺はずっと奇妙な霧の中にいるようだった。頭の中では、小川のほとりで起きた出来事のすべてが繰り返し再生されている。ライアンは馬や美しい景色について興奮気味にしゃべり続けていたが、アヴェリンの大胆さをどうにか理解しようと必死だった俺の耳には、その声はほとんど届いていなかった。

『一体全体、俺は何に首を突っ込んでしまったんだ?』

あの女はまったくもって奔放だった。俺自身の提案をそっくりそのまま突き返してきたやり口、あれほど大胆に俺に触れてきたこと、そして俺の目をまっすぐに見つめ、実質的に「私についてきてみなさい」と挑発してきたあの態度――そのどれもが、俺がこれまで経...

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