チャプター 16

近づいてくる足音に、純然たるパニックが血管を駆け巡る。私が性的暴行を加えた男性と顔を合わせるまで、あと三十秒。その前に、きっと恥ずかしさで死んでしまう。

「あっ!」私は突然、あまりにも大きな声で言った。ドアに向かって後ずさりしながら。「ねえ、ライアン? 今思い出したんだけど――おばあ様の病院の予約が今日の午後だったの、すっかり忘れてた! もう行かなくちゃ!」

ライアンの顔がみるみるしょげた。「でも、パパが帰ってきたばかりだよ! 会いたくないの?」

「また今度ね!」私はもうドアまで半分のところまで来ていた。「絶対に次! ミッチェルには電話して、予定を変更してもらうから!」

もはや廊下を早...

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