第六十九章

オリオン

モリソンが予約したVIPブースは、まさに俺が予想した通りの場所だった。クラブのメインフロアを見下ろす、床から天井までの窓を備えた二階の特等席。ほとんどの連中の車より高そうな革張りのソファ。そして、小国の防衛費くらいは賄えそうな高級酒の数々が並んでいた。

テーブルの周りには三人の女性が戦略的に配置されており、どいつもこいつもプロの手で磨き上げられた、いかにも高価な接待要員といった見事な美貌を誇っていた。モリソンは粋なやり方で取引をまとめる術を知っている。ここ数日、俺の肩にのしかかっていた緊張が、いくらか和らぐのを感じた。

ウィスキーに手を伸ばし、モリソンの時候の挨拶を半分聞き流し...

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