第104章

自分のデスクに戻り、すっかり冷め切った茶を流しに捨てると、指先に残っていた火傷の痕から、遅れてきた痛みがジンジンと伝わってきた。

千鳥凪紗は蛇口をひねり、冷たい水で何度も手の甲を洗い流した。まるで、心の底にこびりついた寒気まで一緒に洗い流そうとするかのように。

松下佑奈は、私の命を狙っている。

その事実は、千鳥愛梨による狂言誘拐よりも遥かに背筋を凍らせるものだった。

片や明らかな敵意をむき出しにしてくる相手。しかしもう片方は、偽善的な笑顔を仮面に貼り付け、暗闇に潜みながらいつでも致命的な一撃を加えようと鎌首をもたげる毒蛇だ。

そして藤野拓介は、とっくにそれに気づいており、彼女のため...

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