第110章

千鳥凪紗が部屋に入ってくるのを目にすると、千鳥愛梨の死んだような瞳にようやく一筋の光が宿った。彼女はまるで唯一の救いの光を見たかのように、ベッドの上でもがきながら身を起こし、その手を伸ばして掠れた声で哀願した。

「お姉……ちゃん、助けて、お願い、私を助けて……」

しかし、その言葉が終わるか終わらないかのうちに、彼女の視線は千鳥凪紗の背後にいる藤野拓介に止まり、表情が一瞬で凍りついた。

藤野拓介は顔の半分を覆う銀色の仮面をつけていた。仮面の下から覗く皮膚は焼け爛れたようにデコボコで、傷跡が複雑に交錯しており、病室の蒼白い蛍光灯の下では一際凄惨で恐ろしく見えた。

千鳥愛梨の瞳孔が急激に収...

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