第116章

纏うものをすべて脱ぎ捨て、月明かりだけが二人を包み込んでいた。

藤野拓介がその身を貫いた瞬間、千鳥凪紗は苦痛に小さく呻き、爪を彼の背に深く食い込ませた。

拓介は動きを止め、額に青筋を浮かべて欲望を抑え込む。汗ばんだ彼女の額やこめかみに優しく口づけを落とし、掠れた声で宥めた。

「怖くない。力を抜いて……俺に任せろ」

窓外の夜色は穏やかだが、室内では嵐が吹き荒れている。

最初はぎこちない手探りだったものが、やがて溺れるような狂熱へと変わる。凪紗は荒波に揉まれる小舟のように、唯一の浮木である拓介にしがみつき、快楽の頂へと連れ去られていった。

どれほどの時間が過ぎただろうか。彼の腕の中で...

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