第13章

藤野実和の言葉が終わるか終わらないかのうちに、千鳥凪紗はふっと笑った。その笑い声は鈴のように澄んでいたが、背筋が凍るような冷たさを帯びていた。

彼女は藤野実和が差し出した手など目もくれず、逆に藤野拓介と繋いでいた手を高く掲げた。彼の手のひらに自分のそれを重ね、見せつけるように修長な指をしっかりと絡ませる。その姿は、誰が見ても親密そのものだった。

「藤野実和」

濡れたような紅唇が開き、紡がれる言葉の一文字一文字が、まるで平手打ちのように彼のプライドを叩く。

「忘れたの? 私が一度捨てたゴミを拾い直す趣味なんてないってこと。あなたはもう、私が捨てた人なのよ」

彼女は藤野拓介と繋いだ手を...

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