第137章

千鳥凪紗が乗り込むと、車は滑らかに動き出した。

「いい度胸だ」

山口延平が横目で彼女を見る。その偏執的な瞳からは、かつての狂気じみた憎悪は消え去っていた。

千鳥凪紗は相手にするのも煩わしく、ただ静かに目を閉じて鋭気を養う。

車は一路疾走し、やがて郊外のひっそりとした別荘の前で停車した。

山口延平が先にボディガードの手で車から降ろされ、車椅子を操作しながら千鳥凪紗に続くよう促す。

別荘の扉が開かれると、淀んだ空気がどっと押し寄せてきた。

分厚いカーテンが閉ざされた薄暗いリビング。その中央の絨毯の上に、後ろ手に縛られ、猿ぐつわを噛まされた二つの人影が、無様に身を縮こまらせて転がって...

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