第14章

その顔……。

高村の顔から怒気が嘘のように消え失せた。我に返るや否や小走りで歩み寄り、藤野拓介の三歩手前で立ち止まると、深々と腰を折った。その声は震えている。

「藤野様、いらしていたのですか? 行き届かず、申し訳ございません」

この劇的な展開に、その場にいた全員が呆気にとられた。

千鳥愛梨は信じられないといった様子で目を見開いた。

「高村さん、気が狂ったの? なんでこいつにそんな丁寧なのよ? あのクズとグルの詐欺師よ! 実和に暴力まで振るったのよ!」

藤野実和は激痛の走る手首を押さえ、怒りを堪えて言った。

「高村さん、『エリシアン』はVIP客をこんなふうに扱うのか? 今すぐこい...

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