第149章

桜山久美は素早くドアを開けると、身軽な動作で車内へと滑り込む。車は即座に発進し、車の流れに紛れて街の彼方へと消えていった。

千鳥凪紗はその場に立ち尽くし、遠ざかる車を見つめながら、口元に浮かぶ冷笑を深める。

どうやら、黒幕との密会らしい。

凪紗は病室には戻らず、そのまま病院の監視センターへと足を運んだ。

この私立病院の筆頭株主は藤野家だ。「藤野拓介」の名を出すだけで、警備責任者は恭しく彼女を招き入れ、すべての権限を開放した。

裏口の防犯カメラ映像を呼び出す。画質は鮮明だ。

映っていたのは黒のセダン。窓には濃いスモークフィルムが貼られ、ナンバープレートも巧みに隠蔽されている。

桜...

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