第154章

千鳥凪紗も少し不思議に思い、宥めるように辰樹の背中をポンポンと叩くと、椎名水緒に視線を向けた。

「羽菜ちゃんはいないの?」

「え?」

椎名水緒はそこでようやく、彼らの来訪目的を理解したようだ。彼女はバツが悪そうに頭を掻きながら答えた。

「羽菜なら、さっき連れにショッピングモールへ行かせたわ。たぶん……帰りは夜になると思う」

その言葉は、瞬く間に辰樹の瞳からすべての光を奪い去った。

さっきまで期待に輝いていた小さな顔ががっくりと垂れ下がり、長い睫毛が伏せられて、その瞳の奥にある感情をすべて覆い隠してしまう。

椎名水緒もそんな彼の様子を見て胸を痛め、何か慰めの言葉をかけようとしたそ...

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