第155章

彼女はそう言うと、バッグから予備のマスクを二枚取り出した。高村美玲と共に素早く装着し、小走りで辰樹の後を追う。

辰樹はエレベーターが見つからず、その場で右往左往していた。そこへ突然、マスク姿の二人の女性が立ちはだかり、彼の行く手を阻んだ。

「パパとママを探しているのかな?」

高村美玲はわざとらしい猫なで声を出し、優しげなふりをしてしゃがみ込んだ。

辰樹は警戒して一歩後ずさる。つい先ほど教師に騙されたばかりの彼は、見知らぬ人間に強い不信感を抱いていた。

「妹を探してるんだ。おばさんたち、誰?」

「私たちは叔母さんのお友達よ」

千鳥愛梨がすかさず口を挟み、嘘を並べ立てた。

「あっ...

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