第157章

数段の階段だ。転げ落ちても死ぬことはないが、混乱を引き起こすには十分だろう。

階段の上から追っ手の声が聞こえたその瞬間、千鳥愛梨は意を決し、猛然と足を振り上げると、全力で辰樹の背中を蹴り飛ばした。

辰樹は完全に無防備だった。

小さな体はまるで壊れた人形のように数段の階段を転げ落ち、冷たく硬いコンクリートの床に叩きつけられる。

膝に走った激痛に、辰樹は瞬時に身を引き裂くような悲鳴を上げた。

千鳥愛梨はその一瞬の隙を突き、羽菜が言っていた監視カメラの死角へと身を翻し、息を殺した。

「辰樹!」

非常階段に飛び込んだ千鳥凪紗の耳に届いたのは、断末魔のような辰樹の泣き叫ぶ声だった。

彼...

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