第16章

中年の男はその一喝に呆気にとられたが、腕の中の柚木文乃が逃げようともがくのを感じると、さらに力を込めて締め上げた。

「あぁ? 誰だテメェ。梅原様のことに口出しする気か?」

男は脂ぎった顔を歪め、千鳥凪紗を睨みつけた。

その時、個室のドアが開き、派手なアロハシャツを着た痩せぎすの若い男が出てくる。手には赤ワインのグラスを揺らし、入り口での騒ぎを面白そうに眺めていた。

彼こそが男の言う梅原、A市でも名の知れた不動産王のドラ息子だ。

「おや、もう一匹釣れたか?」

梅原の視線が千鳥凪紗に注がれる。整った顔立ちから身体のラインへと舐めるように視線を這わせ、露骨に卑猥な色を浮かべた。

「こ...

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