第17章

藤野拓介は軽く手を挙げ、檜山元司に銃を収めるよう合図した。

仮面の奥から放たれた彼の視線は、蒼白になった千鳥凪紗の小さな顔に注がれていた。その美しい瞳は恐怖と涙で溢れ、まるで極限まで怯えた小鹿のようだ。見ているだけで、心臓が微かに締めつけられるような感覚を覚える。

「ボス?」

檜山元司が不服そうに口を開いた。その声には隠しきれない殺気が滲んでいる。

「生かしておくんですか? 後々面倒なことになりますよ」

「あの女は何も知らない」

藤野拓介の声はボイスチェンジャーを通し、一切の感情を削ぎ落とした冷徹な響きとなっていた。

「一般人を一人始末したところで、無駄に警察の目を引くだけだ。...

ログインして続きを読む