第177章

「千鳥凪紗!」

桜山久美はギリリと奥歯を噛み締めながら、その名を呪詛のように吐き捨てた。瞳の奥には、怨毒に満ちた憎悪の炎が揺らめいている。

入念に画策した計画が、あろうことかあんなにもあっさりと潰されたばかりか、逆に追い詰められる屈辱まで味わわされたのだ。

このまま引き下がれるわけがない。

桜山久美は予備のドレスに着替えるや否や、化粧を直す手間さえ惜しんで部屋を飛び出した。怒りに任せてドアを押し開け、千鳥凪紗に落とし前をつけさせるべく足早に進む。

二階の廊下の角を曲がった瞬間、彼女は憎くてたまらない二つの小さな影と鉢合わせした。

辰樹と羽菜だ。二人はそれぞれケーキの載った小皿を手...

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