第185章

カチリ。撃鉄が落ちる乾いた音が、静まり返った部屋にやけに大きく響いた。

弾丸は発射されない。何も出はしないのだ。

藤野雲谷は信じられないといった様子で手元の銃を見つめ、次いで目の前まで歩み寄り、居丈高に彼を見下ろしている藤野拓介を見上げた。

何より彼の肝を冷やしたのは、藤野拓介が自らの足で歩いてきたという事実だ。その足取りは力強く、何かに頼る様子など微塵もない。かつて憐憫の対象だったその瞳は、今や底知れぬ深さを湛え、鷹のように鋭い。車椅子もなければ、傷跡もない。病弱な面影など欠片もなかった。

足を引きずってもいないし、顔も崩れていない。五体満足、健康そのものだ!

「藤野蓮司! きっ...

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