第202章

彼からすれば、それはまさしくクズ男が感情を弄ぶ修羅場に他ならなかった。

自分の姉もまた、この男に騙されているのかもしれない。そう思うと、上村暁の瞳に宿る殺意は一層濃さを増した。

「クズ男が」

彼は冷ややかに吐き捨てた。姉のため、そして報酬のため、今日この男には死んでもらわねばならない。

呼吸を止め、指先を安定させて引き金に添える。まさに引き絞ろうとした、その刹那――

微かな、しかし確かな殺気が背中を刺すような感覚となり、藤野拓介の神経が瞬時に張り詰めた!

「危ない!」

思考するよりも早く、本能が動いた。彼は千鳥凪紗を背後へとかばうように引き寄せ、同時に自身も鋭く横へと跳躍した。...

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