第210章

その後の航路において、上村暁は打って変わって慎重になり、余計な真似は一切しなくなった。ただひたすらに、船を安定させることだけに集中した。

だが、千鳥凪紗の船酔いはまるでスイッチが入ったかのように止まらない。吐きに吐いて、ついには胃液まで戻し、完全に虚脱状態に陥ってしまった。

ようやくヨットが岸に着き、厳重な警備が敷かれたプライベート・アイランドに停泊した頃には、凪紗は脱水症状で唇が乾ききっていた。上村暁に半ば抱えられるようにして、ようやく船を降りる。

その衰弱しきった姿を見て、上村暁の端正な顔には後悔と自責の念がありありと浮かんでいた。

「ごめん、姉さん……船酔いするなんて知らなくて...

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