第212章

彼は一呼吸置くと、さらに付け加えた。

「それにね、僕もお姉ちゃんも全然辛くなかったよ。孤児院の園長先生は優しかったし、他の子たちも面白かったから。お姉ちゃんがよく塀を乗り越えて外に連れ出してくれたんだ。二人で園長先生の畑の野菜を全部引っこ抜いちゃって、凄く怒られて追いかけっこしたんだよ!」

辰樹はそう言うと、ケラケラと笑い声を上げた。その澄んだ声は、子供特有の無邪気さに満ちている。

さらに彼は、園長先生が怒り狂った様子を身振り手振りで真似し、千鳥凪紗を泣き笑いさせた。

彼女はその光景を思い浮かべ、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。そうか、私がそばにいなくても、子供たちはこんなに...

ログインして続きを読む