第216章

千鳥凪紗の心臓が早鐘を打った。泥のような嫌な予感が、瞬く間に全身を支配していく。

辰樹は?

彼女は弾かれたように身を起こし、医療室の中を必死に見回した。だが、あの小さな姿はどこにもない。

眠りに落ちる前、辰樹は確かにそばにいたはずなのに。

焦燥感に駆られながら医療室を飛び出すと、ちょうど外で番をしていた上村暁と上村美野の姿が目に入った。

「辰樹は?」

千鳥凪紗の声は、抑えようとしても微かに震えていた。

上村暁と上村美野の表情が強張る。二人は重々しく首を横に振った。

「高村辰雄のところへ行くわ」

千鳥凪紗は即座に決断した。昼間、辰樹が高村辰雄を気にかけていたことを思い出したの...

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