第217章

夏川品邦は千鳥凪紗が狼狽し、自分こそが勝利を収めたと確信した瞬間――その静寂を保っていた影が、唐突に動いた。

千鳥凪紗の動きは疾風迅雷。誰も反応できぬうちに、彼女はすでに夏川品邦の胸倉を掴み上げていた。

夏川品邦は顔色を変え、反射的に振り払おうとした。だが、その華奢で白皙な手はまるで万力のように食い込み、彼を微動だにさせなかった。

そこで初めて、彼は戦慄した。この女、腕力が異常だ!

凄まじい恐怖に囚われた彼は、狂ったように身をよじり、金切り声を上げた。

「見ろ! 図星だからだ! 口封じに俺を殺そうとしてる!」

その叫びが、群衆の怒りに油を注いだ。

「放せ!」

「人殺しの分際で...

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