第219章

辰樹は全身泥と擦り傷だらけだった。小さな顔には涙の跡がこびりつき、額の端には赤く滲む擦過傷がある。その姿はあまりに痛々しく、見る者の胸を締め付けた。

「辰樹!」

千鳥凪紗は悲痛な叫び声を上げ、その冷え切った小さな体を強く抱きしめた。その瞬間、一晩中溜め込んでいた恐怖、絶望、そして後悔が、決壊したダムのように轟音を立てて溢れ出した。

「ごめんね……ママ、遅くなってごめんね……ごめんなさい……」

彼女はうわごとのように謝り続け、温かい涙が大粒の雨となって辰樹の髪を濡らした。もう感情を抑えることなどできなかった。

腕の中の小さな体がびくりと強張った。だがすぐに、氷のように冷たい小さな手が...

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