第226章

翌日、藤野拓介はすぐに松下司奈の元へは向かわず、一人の部下を連れて出向いた。

その男は風采の上がらない見かけだったが、彼の側近の中で最も人の顔色を窺うことに長けた腹心だった。

松下司奈は高級マンションに住んでいた。彼女がドアを開け、外に立つ藤野拓介の姿を認めた瞬間、その瞳に巨大な驚きと歓喜の光が弾けた。昨夜の屈辱など、まるで綺麗さっぱり忘れてしまったかのようだ。

「蓮司! あなた……どうしてここへ?」

彼女は驚きのあまり少し言葉を詰まらせながら、慌てて身を翻して彼を招き入れた。

藤野拓介は無表情のままリビングへ足を踏み入れ、ソファに腰を下ろす。彼の背後では、部下が彫像のようにドアの...

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