第43章

「法治国家だと?」

梅原慎一は、これ以上ない冗談を聞いたとばかりに鼻で笑った。千鳥凪紗を一歩ずつ追い詰め、目の前でブラックカードをひらつかせる。

「法律なんざ、貧乏人を縛るためのルールだ。俺には関係ない。それより、お前のことが気に入った。俺の女になれよ。どうだ、悪い話じゃないだろう?」

彼は両手を広げ、抱擁を求めるポーズをとった。その顔に張り付いた下卑た笑みは、見るだけで吐き気を催すほどだ。

「さあ、俺の胸に飛び込んで来いよ」

千鳥凪紗は胃の奥から込み上げる嫌悪感に襲われた。彼女はカードを地面に叩きつけると、柚木文乃の手を引いてその場を立ち去ろうとした。

「行かせるかよ」

梅原...

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