第46章

電話の向こうから聞こえる陰険な声は、女の金切り声によって遮られた。

「ちょっと、あなた! 息子を見てよ! こんなに血が出てるじゃない!」

桂田秀蘭は梅原慎一の腕を抱きかかえ、青あざだらけになった息子の顔を見て、いたたまれずに涙をこぼしていた。

梅原哲生は苛立ち紛れに電話を切ると、出来損ないの息子と、ただ泣き喚くだけの妻を振り返った。怒りが頭のてっぺんまで突き抜ける。

「何をビービー泣いてるんだ! 元はと言えばこいつが外で揉め事を起こしたからだろう。今さら泣いたところで何になる!」

元々息子を溺愛している桂田秀蘭は、その言葉を聞いて瞬時に逆上し、梅原哲生の鼻先に指を突きつけて怒鳴り返...

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