第48章

千鳥凪紗が視線を落とすと、そこにはA市の最高級別荘地のパンフレットが広がっていた。山頂に佇む広大な一戸建てから、湖畔に面したフレンチスタイルの洋館まで、どれも目が飛び出るような価格だ。かつての彼女でさえ、想像もしなかったような物件ばかりである。

彼女は呆気にとられた。

「あ……これ、どうしたの?」

「将来の俺たちの家を選んでるんだ」

藤野拓介は当然のように言った。彼はその中の一軒、広大な庭園とプールを備えた別荘を指差す。

「これがいいと思うんだ。庭いっぱいに、君の好きな薔薇を植えてあげられるから」

未来の家?

千鳥凪紗の胸が熱くなった。

けれど、彼にそんな大金があるはずがない...

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