第53章

「千鳥社長」

 千鳥凪紗は冷ややかに彼の言葉を遮った。周囲が驚愕の視線を向ける中、彼女は緩慢な動作で携帯を取り出し、ある動画を再生した。

『本日をもって、私、千鳥凪紗は、自由意志に基づき千鳥司夫氏との親子関係を断絶します。今後、互いの人生に一切干渉しないことをここに誓います』

 動画から流れる彼女自身の声は明瞭で、その一言一句が強烈な平手打ちとなって千鳥司夫の顔面を打ち据えた。

 あたりは死のような静寂に包まれ、ただ彼女の清冷な声だけが響き渡る。

 千鳥凪紗は携帯をしまうと、唇の端に絶対零度の冷笑を浮かべた。

「動画が証拠です。お忘れですか? 私たちはもう赤の他人なんですよ。私の...

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