第56章

栗原小里は彼女が黙り込んでいるのを見て、その笑みをいっそう深めた。彼女は親しげに椎名水緒の手を取り、傍らのソファへと誘って座らせた。

「水緒、そんなに緊張しないで。ちょっと聞きたいだけよ。あの千鳥凪紗って子は、拓介のお友達なのかしら?」

「は……はい」

椎名水緒は慌てて頷いた。

「ただの友達?」

栗原小里は明らかに信じていない様子だった。椎名水緒を見つめるその瞳は笑みを湛えているものの、人の心の奥底まで見透かすような鋭さを秘めている。

「水緒、お祖母ちゃんに本当のことを教えてちょうだい。拓介は本当にその千鳥凪紗って子と付き合っているの? あの子ったら長年浮いた話の一つもないでしょ...

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