第67章

護衛が車に乗せようとした時、藤野蓮司が不意に弱々しい声を上げた。

「待て」

彼は目を開け、その視線を千鳥凪紗に向けた。声には力がまるで入っていない。

「千鳥さん、頼めるかな……家まで送ってくれないか? こいつらは……どうも頼りなくてね」

その言葉が落ちるや否や、屈強な護衛たちが一斉に申し訳なさそうに頭を垂れる。

千鳥凪紗は眉をひそめ、あからさまに嫌そうな顔をした。

その様子を見て、藤野蓮司は口元をわずかに引きつらせ、いかにも弱りきった声で言い訳を重ねる。

「こいつらは荒事しか能がないんだ。道中で私の容態が急変しても、応急処置ひとつできやしない」

千鳥凪紗は彼の惨めな姿を見て、...

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