第74章

騒動が過ぎ去った後、宴会場には何とも言えない微妙な空気が漂っていた。

梅原徳海が改めて体裁を取り繕う挨拶を述べ、ようやく祝賀会の雰囲気を取り戻したといったところだ。

だが、千鳥凪紗にはこれ以上愛想を振りまく気力など残っていなかった。先ほどの茶番劇で精神をすり減らしてしまったのだ。ドレスの裾にはシャンパンが飛び散り、その不快な粘つきが彼女の神経を逆撫でする。彼女は梅原徳海に一言断りを入れると、着替えのためにその場を離れた。

梅原家の宴会場の脇には、来賓が身なりを整えるための個室がいくつか設けられている。

案内表示に従って扉を押し開けた凪紗は、中の人物を見て足を止めた。

部屋のメイン照...

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