第79章

重厚な本革のソファに、少年がちょこんと座っている。その隣には、あからさまに不機嫌な顔をした梅原慎一がいた。

「『お兄ちゃん』だろ! お前と大して歳変わらねえんだよ。『おじさん』なんて呼ぶんじゃねえ、俺はそんなに老けてねえぞ」

梅原慎一は輸入物のチョコレートの箱を手に、辰樹を買収しようと必死だ。

だが辰樹は腕を組み、ぷいと頑固に横を向いたまま、頑として口を開こうとしない。

そこへ千鳥凪紗が入ってくると、辰樹の瞳がパッと輝いた。彼は即座にソファから滑り降り、弾丸のような勢いで駆け寄ると、千鳥凪紗の太ももにぎゅっとしがみついた。

「おばちゃん!」

「ったく、やっと保護者のお出出しかよ」...

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