第10章

ブラインドの隙間から陽光が差し込み、リハビリセンターの庭のベンチにまだらの影を落としていた。私はそこに座り、新鮮な空気を吸い込みながら、初夏の暖かさを感じていた。あの恐ろしい夜から三ヶ月が経っていた。

隣には荒生が座り、雑誌を手に、時折顔を上げては私の様子を確かめている。あの夜以来、彼は片時もそばを離れず、ずっと一緒にいてくれた。悪夢にうなされて叫びながら目を覚ました時でさえ、いつも彼が手を握り、静かに嵐が過ぎ去るのを待ってくれた。

遠くに見える黒いセダンには、和也の手の者たちが乗っているのだろう。この三ヶ月、和也本人に会ってはいないものの、彼の存在はどこにでも感じられた。

「門...

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